トランプ氏が進める中間層への大規模減税、大規模なインフラ整備、製造業の国内回帰、大規模な規制緩和、資金の国内回帰、2国間協定による貿易の均衡化、移民制限などは、成功すれば貿易赤字の減少、場合によっては黒字化となり、中間層の活気を取り戻すこととなるでしょう。ドルは実需的には大幅に上昇します。
ドル高は輸出に不利なため、貿易の均衡化には不利となり、それを2国間交渉で改善しようとする(為替操作国認定などの脅しで)するでしょうが、実需の流れには抗しがたく、一時的な影響しかないわけで、ドル高は自然の方向性になるしかありません。
これらの政策が本当に実施できるかどうかが問題なわけですが、案外スムーズにいきそうです。米国はリーマンショックから立ち直り利上げと完全雇用の状態にあります。政権は上下両院とも共和党が多数を占め、トランプ氏が貿易均衡化と移民制限を目指している限り、法案を通して協力する姿勢に変わってきました。つまり、トランプ氏には金も権力もあるわけです。トランプ反対勢力は勢いを失っています。取り敢えずやらせてみようというようなことでしょうか。上院議長とトランプ氏は、今後200日以内の法案通過に合意しているそうです。
そうなると、秋ごろまでにはトランプ氏の政策が実行に移され始め、数年はその影響が猛威を振るうということなると予想されます。それでも、輸出が増えるとは思いませんが、明らかに輸入は減少し、国内の資源と労働力が尊重され、貿易収支は改善します。米国内はインフレが高進し、金利上昇となり、ドルは上昇します。
世界は今更高価で大雑把な米国製品を買う方向へは向かわないでしょうから、いくら2国間協定を進めても製造業の輸出は増えず、グローバル化による現地生産主義、つまり米国が目指すアメリカファーストと同じ論理が世界中に蔓延します。保護主義あるいは地域主義が幅を利かせるかもしれません。場合によっては、自由貿易の名の下、米国の代わりに中国がアジア太平洋諸国をTPPで主導するという芽も出て来るかもしれません。
そんなわけで、ここ数年はドル高の局面が実現しそうです。それが、世界にとっていいかどうかわかりませんが。(単なる時代の揺り戻しのような気もします)
ドル円を少し多めに買ってみました。
ただ問題は、高齢のトランプ氏がどこまでもつか、ということです。
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